緊急プレゼンテーション。「ウィーンの森は生かすべき!」

「鴨沂のウィーンの森移設&縮小案にちょっと待った!」

~施工業者「梓設計」さんへのプレゼンテーション

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 本年9月25日付読売新聞の文化面に、鴨沂高校校舎改築に際する昨年の意見聴取会議でも保存側として登壇された、京都工芸繊維大学・中川理教授が「都市の緑化」についての記事を寄稿されていました。

 東京を始め、お隣の大阪でもヒートアイランド対策に有効とされる緑化が実践されている事を書かれたものです。記事には、ネット等を中心に散々バッシングを喰らった大阪マルビル緑化の話も(そうした論調の存在は避けられていましたが)触れられていました。

 マルビル緑化と言えば、本物の緑かと思いきや、相当割合で造花を混ぜ込んでいるという話。この提案をしたのが、一方で自然との調和を掲げる建築家・安藤忠雄さん。この度、景観破壊や予算膨大で大騒ぎになっている2020年東京オリンピックのメインスタジアム・新国立競技場新築プランでの選考委員長の立場にて方々からバッシングを受けており、「こんなのエコでも何でもないだろう!主義の一貫性が無いじゃないか!」というのがその主な批判内容です。

http://www.huffingtonpost.jp/takashi-moriyama/new-national-stadium_b_5265175.html

http://ameblo.jp/mori-arch-econo/entry-11761082476.html

 東京オリンピックと言えば、当初計画で設定されていた競技会場のいくつかは、環境破壊やコスト増大の懸念によって競技会場設置の見直しも計られました。そのきっかけには、あるブログ記事が熱烈に支持されて世論に共感を生み、そうした計画変更を訴える市民運動の原動力となったとも言われています。
http://yaplog.jp/eikisato/archive/275

 勿論、今回の鴨沂高校改築に関わられる専門家の方々は言わずもがな、こうした都市設計や建築の潮流について、その方面には素人な私たち卒業生より熟知される話題の領域でしょう。現在進められている新国立競技場のフレームワーク設計には梓設計さんも、関わられておられますね。

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(出典/Facebook page The High Lineよりhttps://www.facebook.com/thehighline/info

 さて、この画像は、アメリカ・NYにて、長年に渡り廃線となったままに放置されていた高架線路を、一時は解体の危機にあったものをたった二人の若者が声を挙げて賛同者を募り、多くの困難を乗り越え、なんと空中庭園にした、その名も「The High Line」の一部画像です。

 このプロジェクトに関してはタイトルもそのまま書籍化(日本語訳も出版されています)もされており、ビジュアルも取り組みも実にクールです。これら廃線のままに野ざらしにされていた頃は、治安がとても悪く、犯罪も横行し、住民らにはとても疎まれた存在で、完全に都市のデッドスペースと化していました。ところが、その高架から見えるNYの特等席が実はこんなにも視点を変えれば素晴らしいんだよ、この貨物線路はかつて、NYの近代化と都市化に大いに貢献したいわば、近代化遺産なんだよ、と謳ったキャンペーン活動が始まり、やがて大きなムーブメントとなり、地権者や市当局を説得した後、現在はNY市民の最高に贅沢なひとときの居場所として存在していて、パフォーマンスやイベントも多く開催されています。

(公式サイト/Friends of high lineも是非チェックhttp://www.thehighline.org/

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(↑鴨沂高校の「ウィーンの森」。こんなに成長を遂げました。)

 今回の鴨沂高校における設計プランを見ると、中庭に存在する通称「ウィーンの森」は、そこに育つ樹木を正門北側の脇に面積を縮小化し移植される、というプランが掲げられています。そして現在のウィーンの森の場所には、学生向けワークショップで、恐らくは軽音部からの提案と思われますが、演奏等が出来るようなテラスを作って欲しい、との要望と、その夢を叶えてあげるべくプランに加えられています。

本館校舎

(↑現在の校舎本館の平面図。水色で囲んだ部分だけが今回の改築計画で保存される部分。)
新校舎プラン

(↑今回の校舎改築プランの平面図。新設される体育館面積は、元の体育館とそう、面積的に大きくなったとは思えません。緊急車両が入れるように、という話も当初聞かされ、そのためのウィーンの森移設なのかと思っていましたが、どうやらこのプランを見る限りそうは思えず、車両動線は違った形で考えられているのだな、と思います。)

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 そこで大きく二つ、疑問を掲げたく思います。

 ①まず、少なくとも80年代後半以降の鴨沂高校においては、アンプなどに繋いだ電子楽器やドラムが加わった、いわゆるバンドスタイルの音楽を校庭などで演奏する事は禁止されていました。(それ以前には、アコースティックライブのようなものは行われていたそうですが。)その理由は周辺住民への騒音苦情への対応でした。現在の校長先生を始め、ほとんどの教員の方々は、この度の校舎改築と校風改変以降に赴任されてきた方々ばかりなので、こうした事情はご存知無いと思います。ですからこうした学生側の要望が、しかしながら完成後に果たして実現されるのかがとても疑問です。ちなみに、現在の軽音部はアコースティック系ではありません。仮校舎のデッキでは、文化祭にてバンド演奏が出来ているようですが、これがこのまま、現校地側でも出来るかは、学校の方針が変わらない限り分かりません。これまで長きに渡り、こうした音楽系クラブは騒音クラブとして学校側に位置づけされてきた経緯がありますので、随分、理解のあるプランだな、というのは我々卒業生の率直な感想です。

 ②樹木の移植と言われますが、それは本当にそれほど、簡単な事でしょうか?低木ならまだしも、もうそこで少なくとも半世紀以上根をおろした樹木達が、根を痛める事も、また果たして枯れさせる事無く移植可能でしょうか。植え替えの時期の見計らいも大変です。これに真摯に取り組むとなれば大変高い技術力を持った専門家らによって成される筈でしょうから、大変予算がかかります。だから、植木屋さんにとっては、移植させるより新たな樹木を購入して植える方がてっとりばやいのです。第一、移植先の面積があまりにも小さく、これではいくつの樹木の命を救えるのかさえ疑問です。加えて、今や先にも述べた通り、都市の緑化は時代の潮流です。せっかく今、豊富にある緑を、無くすに等しい行為は、皆さんのような設計者にとっても時代錯誤と揶揄されはしませんか?

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 以下、こうした疑問をふまえての提案。

 

 「現在存在する「ウィーンの森」をそのまま存置し、現在の樹木達をリズム良く避けながら、耐久性の高いウッドデッキを敷く」というのがその提案の骨子です。

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(↑出典/facebook page The High Line)

 参考画像とも言うべきものが、今回の「The High Line」の様子です。

こちらのFBページには、更に多くのビジュアルがありますので、参考にされるにはとても素晴らしい資料となるでしょう。高架上という極めて不利な条件であってもこうして緑化が出来、また散歩道にも、市民の憩いの場にも出来て人間と植物達が共存出来るのですから、地面上の鴨沂高校の中庭など、知恵とセンスさえあれば簡単に実現出来ると思うのです。我々が今回の設計プランについてとても残念に思うのは、皆さんのような専門家の方々の出されたプランに、一方で歴史や伝統と最先端設備というお題を与えられていながら、こうしたアイデアのなるほど感が見られなかった、ただ、言われるままに図面上でものを排除し、動かす(というか新たに建てる)だけで解消しようとしている点に見られる所なのです。

 また、「演奏など出来るテラス」という夢を実現されるという事であるなら、きっと皆さんは音楽について理解のある方々だと想定してのお話かつ、恐らくは年齢的にもよくご存知なのではないか、という想定でお話しますが、例えば1969年の伝説的野外音楽フェス・・・と言えば、「ウッドストック」!となりますよね。これは、アメリカ・ニューヨーク州の酪農農場が会場となりました。イギリスの有名な野外フェスと言えば「グラストンベリー・フェスティバル」も広大な農場が会場。行った事はありませんが、写真や映像で見る限り、緑に囲まれた素敵な環境です。その他の野外音楽フェスも、その多くが山の中、森の中と、人里離れた自然溢れる環境で行われている事が多いのも特徴です。これには周辺住民への騒音やトラブル対策も主な要因とされます。

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 仮にですが、ウィーンの森を上手く残したままにデッキを敷けば、そこは今一度、たくさんの学生の憩いの場になるイメージは湧きませんか?木漏れ日の中で演奏したり聴いたりするのって、心地よさそうだとは思いませんか?

 鴨沂高校は歴代に渡り音楽系のクラブが多数存在しており、有名過ぎる出身者・沢田研二さん(とは言え卒業はされていません)以外にも、実は多くのミュージシャンが卒業生で居る事をご存知であれば、それは相当な音楽好きな設計者のみなさんです。現在の軽音部がかなり多くの部員数を誇っているのは、その名残とも言えるでしょう。

 と、言う事で、この「ウィーンの森」をそのまま上手く活用し、演奏も出来る、公園にもなる、という事にすれば、これにちなんで「ミニミニウッドストック@ウィーンの森」なんてキャッチコピーをつければ、ちょっと、いやかなり心揺さぶられる卒業生だって多いと思うのです。

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 いかがですか?

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 かけがえのない大切な場所が、ただ奪われて行く事に憂いだり、悲しい気持ちに浸ってばかりは違うと思っています。

 ですが、これから行われてゆくそのプランが、きっと素晴らしい事になるだろうな!と思える、そんなワクワク感が感じられないのも事実です。そして関わりを持つ事が見えない壁で拒絶されているような、そんな心地でも居ます。

 新校舎平面図面を見る限り、新設される体育館の面積は、現行の新体育館面積と、そうたいして変わりません。だったら、現校舎のコの字の軀体をそのまま残して老朽個所や耐震補強などの改修・リノベーションを行い、新体育館は建て替えて北運動場側のプール棟の機能も併せ持つ、皆さんがご提案されたプランを周到すればいいんじゃ無いのか?そう、思えてなりません。面積が足りないというなら、現行の新体育館と校舎の接合部分を伸ばす(つまり校舎北西側の一部のみ解体)、また、皆さんのご提案されたように図書館1階は食堂になるとの事ですから、食堂部分まで体育館面積を伸ばす事だって出来る筈です。そうして北側に体育館をセットバックすれば、新築プランの図面通り駐車スペースも確保出来、北運動場側への地下道と体育館は直結、体育授業時等移動の際の学生の動線もとてもスムーズになります。また、鴨沂高校の女子水球部がワークショップで提議したにも関わらず採用されなかったプール面積も、実現に向かうのでは無いでしょうか?

 また、現行校舎はかつての最大生徒数の1/4とも言われて居り、当方の在校した80年代後半頃には各学年のクラスが約10クラスの45人学級。現在は5、6クラスで1クラスの生徒数も40人に満たないでしょう。という事はつまり学生一人当たりの室内占有面積はかなり広くなっている筈です。デッドスペースを有効活用し、軀体構造を残して空間設計を変えるなどで、現行校舎内でも食堂は造れる筈です。また、最新の教育環境施設を併せ持つため・・・という言い訳も用意されていますが、それらは校舎のほとんどを取り除かなくてはいけない程のたいそうな事でしょうか?欧米の歴史的建物の内部空間を使用用途を完全に切り替えての大規模リノベーションが行われた事例の数々を、皆さんのような専門家が知らない筈がありませんよね?Dresselhuys-befor_-WdJZonnestraal_2

(↑こんな事だって出来るのに・・・あまりにも有名な、オランダのゾンネストラールサナトリウム。鴨沂校舎はここまで朽ちていた訳ではまさかありません。何故、欧米ではこうした歴史的建造物を残すべく動きが見られるのでしょう。出典/ワールドモニュメント)

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(↑そんな遠い世界の話でなく、京都市庁舎の今回の改修計画だっておかしい。鴨沂校舎の公表されている耐震数値であるIS値が更に低い庁舎、かつ防災拠点として求められる強度も学校校舎より更にハードルが高いというのに。そして、築年数で言えば更に鴨沂よりも古いものが本館を全面的に残せるなんて・・・。ちなみに、鴨沂校舎と京都市庁舎は寺町通りで繋がるご近所さんです。市財政も、府財政も、困窮しているのはいずれも同じです。諸々、皆さんがこの事をご存知無いのはありえない話です。写真出典/京都市情報館)IMG_2952

 ですが、どう今回のプランを見ていても、ただ校内をまるでレゴブロックみたいにあっちこっちのパーツを移動させたただけのアイデアで、現行校舎の優美さや威厳、安定感といったものが完全に崩壊しているように思います。これでは、解体し、組み替えと建て替えでもしなければ予算が使い切れない、儲からない、という事なんじゃないか?やっぱりそうか、建築業界って・・・とがっかり感がいなめません。IMG_2953

 残念ながら、私たちは設計者ではありません。ましてや、こうした提案や議論の場所も設けられてはいません。確か約束されていた筈の校舎改築における一般向けワークショップも、形骸化と揶揄されても仕方が無い、閉鎖的で形式だけの学生向けワークショップでいつの間にか終了していました。みなさんは、先のワークショップで一体、学生達と未来の校舎を作り上げるんだ!という使命感というか、爽快感みたいなものを、そこで果たして感じられましたか?リアルに届いていた筈の学生らの声を、大人事情でないがしろにはしませんでしたか?彼らの声を取り入れましたという対外的なプレゼンでそれは、終わらせはしませんでしたか?

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 全体にただまんべんなくコストをかける事で、本当に必要な個所が結局おざなりになるのはおかしい。だったら、最も要望の大きかった筈の体育館内部を最新設備にすべく予算を投入したり、校舎の内観に使われる建材に対して更に予算を投入して欲しい。これまで既に支出された仮校舎家賃や解体費用をもってすれば、一体どれだけの改修費用にまわせた事だろう。講堂の空調設備、水回りの整備や老朽個所など、本来学生らから要望されていた筈の声を叶える事だって出来た筈では無いのか。IMG_8259

 私たちは、きっと、物づくりの真摯さや良識を持たれている筈の皆さんが、私たちのサイトやページを愛読して下さっている事が分かっています。

 こうした空に向かってペラペラとただ話している事も、全く届かない訳も無いだろうという希望も持っています。

 そして。私たちは京都府民でもありますから、京都府の公共施設の在り方について、言えない立場では決して無い筈です。みんな、施主なんだからという心意気で居るのです。

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 「ウィーンの森、そのままテラス計画」。

 例えばこれって、ちょっと素敵だと思いませんか?

 勿論、騒音対策も必要にはなりますが、少なくとも、望まれる学生のパフォーマンスも大音量を伴わないものや、アコースティック系なら演奏可能でしょう。時代はまた巡ります。

 それに、樹木を完全に取り除いてのテラスでの演奏よりも、現在の樹木が生い茂ったままのテラスの方が、周辺への消音効果もまた、期待出来る筈だと思うのです。そう、歴史は語っています。

 まさか、実際のところは工事車両の邪魔である事が最大の理由にて、これらの樹木が撤去される、という訳ではありませんように。

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(↑出典/府一時代の学校通信誌「学校より家庭へ」昭和12年。校内のヒマラヤ杉。)

今回の改築計画に「伐採した樹木を用いて校舎内で一部再利用する」というシナリオも聞きましたが、こうした充分に乾かしもしない生木が建築用材になるなど決して無い事くらい、私たちは素人ではありますが知っています。かつて女学校時代に在籍されていた宮様直々のご卒業記念のお手植えだった、ウィーンの森に現在も育つヒマラヤ杉。これはまさか、神宮式年遷宮よろしく、来るべき改築の為の建築用材として植えられたものではありません。きっと、未来永劫に渡る学校の歴史を見守るべく植えられたものな筈です。時代が変わったから良かったものの、恐らく時が時なら、国賊扱いでしょう。

 

 とにかく。

  上っ面の「なんちゃってエコ」を装われては、たまらないのです。

 鴨沂の歴史は、何せほんもの揃い、なのですから。

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 追伸ー

 既に御覧頂いているかもしれませんが、今一度校舎の歴史についてまとめました私たちサイトのリンクを貼付け致します。

◎既に解体されたプール棟の歴史http://coboon.jp/memory.of.ouki/?p=2846

◎今後解体される和室棟の歴史http://coboon.jp/memory.of.ouki/?p=2938

◎今後内部解体が進められる図書館棟の歴史http://coboon.jp/memory.of.ouki/?p=3684

 http://coboon.jp/memory.of.ouki/?p=2970

◎今後解体される茶室の歴史http://coboon.jp/memory.of.ouki/?p=3097

◎既に解体された旧体育館の歴史http://coboon.jp/memory.of.ouki/?p=2880

◎既に更地とされた北運動場の歴史http://coboon.jp/memory.of.ouki/?p=3127

◎今後解体される校舎本館の歴史http://coboon.jp/memory.of.ouki/?p=3039

◎鴨沂高校のグラウンド問題。その経緯や歴史。http://coboon.jp/memory.of.ouki/?p=4018

◎校舎本館における耐震診断の専門家による見直しされた報告書http://coboon.jp/memory.of.ouki/?p=3240

◎我々の校舎の在り方に対するプレゼンテーション動画https://www.youtube.com/watch?v=x2lV3DvWqTw