勉強会報告。

「京都市歴史的建築物の保存及び活用に関する条例」についての勉強会報告。

 

先週金曜日のお話ですが、大阪弁護士会会議室にて行われた、大阪弁護士会の研究会が主催された勉強会に参加してきました。

テーマは京都市が制定した「京都市歴史的建築物の保存及び活用に関する条例」について、京都市の担当職員を招いての講義と、これと同様な条例を制定したいと検討されている河内長野市の担当者の方らの講義及びディスカッションといったものでした。

 

以前もフィードで触れた事がある、テーマの主軸である「京都市歴史的建築物の保存及び活用に関する条例」。京町家などの木造建築、並びに近代建築などの非木造建築等、歴史都市・京都の景観を形成し、生活文化を伝える景観的・文化的に重要な建造物の伝統的な意匠形態を保存しつつ、安全性の維持・向上を計り、建築基準法の適用を除外する事で、これまで困難だった建築行為を可能として良好な状態で保存・活用を計るものとして、平成24年にまずは木造建築を対象に、そして平成25年には非木造建築を対象範囲として広げ、条例が制定されたものです。

↓条例の詳細内容はこちら

http://www.city.kyoto.lg.jp/tokei/page/0000157989.html

 

今回の勉強会での講義並びに質問内容から分かった事を以下にまとめてみました。

 

◎今回の京都市の条例では、これまでの所、適用建築物となったのは木造建築で3案件(龍谷大学深草町家キャンパスと、あと2件は寺院)。そして非木造建築での適用建築物となったのは現在までで1案件のみ。それは本・京都府立鴨沂高等学校の中央棟。つまり、現在まで非木造建築では、最初の対象事例にしてオンリーワンの建物である。

◎この条例に関しては、景観的、文化的に特に重要なものとして位置づけられた建物である、建築基準法施行(昭和25年)前に建築された建物が対象となり、所有者は保存しながら使い続けるための建築計画や安全性の向上、維持管理に関する計画を記載した「保存活用計画」を立案し、京都市長へ登録の提案を行うものとされる。つまり、鴨沂校舎の場合には所有者である京都府教育委員会より「保存活用計画」が提出されたものであり、この件を京都市の担当者に質問した所、府教委側の計画では、校舎全体では無く、校舎中央棟部分の保存活用計画が提出されたとの事だった。

◎提出された「保存活用計画」は審査され、京都市から保存建築物に登録される。また、今後、所有者は増築等を行う前に市長の許可を受けたり、適切に維持管理が行われるようになり、定期的に市長に報告を行うよう取り決めされている(3年ないしは5年毎の報告)。つまり、今後の鴨沂校舎中央棟に関しては、これまでのようなメンテナンスの滞った状態に陥る事が起こりえない筈、となる。

◎今回の条例の施行については、国による指針に沿った形でつくられたものであり、それらを受けて京都市が取り組んだものである。

◎ただし、この条例についても文化財指定を受ける受けないと同様に、所有者側の意向有る無しによって、条例自体が活用されるかというのが大きな問題となる。

 

第二部のパネラーとしてお話された大阪府河内長野市の文化財保護を担当されていた元職員の方は、主には京都と高野山を結ぶ高野参詣道として歴史を刻む河内長野市に多く残る街道風情や、その文化財指定を受けた建造物の経緯を説明されました。そこには建造物の所有者側に対する働きかけについても触れられていました。また、残す事だけでは長期的保存の道とは言えないとされ、それら木造建築に必要な材木や萱などの育成にも市をあげて取り組まれている事も紹介されていました。そこには、担当者の方の、未来に渡って市民の貴重な財産を残し、伝える事の使命感や熱意を強く感じました。

 

こうした心ある人の力の呼びかけによって、意識は変わるのかもしれないと感じたと共に、講義を受けながら、本来は京都市の条例の対象範囲である(と、以前京都市長への質問状からの回答でもそう述べられていた)あの、鴨沂に残る地下道上屋の貴重さについて、果たしてどう、投げかけてゆけば多くの方の意識は変わるのだろう・・・と、果てしない気持ちになりました。

このような条例の対象になるような、あの学校校舎はそれほどの建物だったのですよ、という事から、今だ意識を持たれなければならないのかもしれません。

また、こうした条例があっても、それを活用し、発展させるもさせないも、私たち市民次第なんだと思うのです。守る事や残す事は、何も単調な意味での保守ではありません。お飾りのようにただ残すだけの為では無い、残し、今後も安全に活用するという方針を持った条例なのですから、その意味を知り、保存と活用の両立が、未来へと続く歴史になるのだという考え方に、展開してゆければと願っています。