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業者向け図面をみて検討しよう⑩

<京都府の業者向け入札情報から、鴨沂校舎が今後どうなってゆくのかを見て行こう⑩>〜いつの間にか増えていた体育館の地下2階。キーワードは水深3.5mのプール。

先週よりスタートしたシリーズの第10回目。
京都府の入札情報リンクに、鴨沂高校校舎改築の工事内容が分かる詳細図面などがアップされています。以下のリンクにその詳細が分かるPDF資料が貼付けられています。膨大量の資料ですが、これまで分からなかった、また学校等のサイトでも更新されていない工事内容と詳細な平面図面も見る事が出来ます。http://www.kyoto-be.ne.jp/kanri/cms/?page_id=39

シリーズ⑨の新設体育館に続きまして、今回もこの体育館の設備にフォーカスしながら、大きな疑問点を挙げていきたいと思います。

1−昨年12月から今年3月まで4回に渡り開催された、学生向けワークショップで府教委と梓設計が示していた図面(基本設計)と、今回の業者向け図面(実施設計)との大きな相違点とは?そして本気?なシンクロ部設立の噂。

これまで学生対象に開かれたワークショップにおける府教委並びに梓設計が基本設計として提案された資料が、以下サイト側に添付されています。
http://www.kyoto-be.ne.jp/kanri/cms/?page_id=28
ここに残された資料を元に、話の中心を体育館の内部を軸に進めたいと思います。
まず、ワークショップの中で最も当初の仕様と異なる形となったのはプール面積であった、というのが分かります。

プール初期面積案

地下プール当初面積

kanrika.ohki.zu1プール図面
まず添付資料1では、当初の計画ではプール面積について、25m×12mであったものが、添付資料2では25m×16m、そして最終的な基本設計では添付資料3の通り25m×20mという計画変更に至りました。これはまた後にも触れますが、現在鴨沂高校で最も対外的にレコードを記録している「女子水球部」において、プール面積の規定に25m×20m、水深が2mが公認水球プールされている事からあるようです(日本水泳連盟資料引用)。
しかしながら、この計画変更に伴い、当初は体育館の西側に2面のテニスコートが配置されていた筈が、体育館全体面積がプールによって変わってしまい、最終的には1面になってしまいました。体育館内部に至っても、当初は格技場スペースは2面あったにも関わらず、1面に減ってしまっています。

地下1階図面基本設計
更に注目すべき点は、今回の業者向け実施設計図面では、学生向け基本設計資料と大きく異なっている点です。添付資料4で分かる通り、基本設計では地下は1階までで地下2階はありません。この、学生らの要望では本来地下1階の範疇でまとめられていたものが(プールの為の設備も既存本館中央地下にまとめられている)、今回の業者向け資料では昨日も示した通り地下2階まで増えて居り、その地下2階の全てはプール及びプールのための設備で占められています。
何故でしょう。
キーワードは水深3.5m。水球の為の水深で無いのは明らかです。
当初の計画では水深2.0mで済んだ筈のものが、1.5mも水深が増しているのです。おおよそ大人の背丈近く程の水深が増されているのは、今はまだ存在すら欠片もない「シンクロ」という新たな部活に関連があるようです。ちなみに「シンクロ」のプール規定を見ると、水深は3m以上必要とする、とあります。
今年の秋頃の事。鴨沂全期同窓会理事会に出席をされている方よりお話を聞きました。
「今まだ学校の設計の事で揉めている。」(何についてですか?)という質問について、次のお話をされました。「シンクロ部を作るのに、プールの水深が足りないから更に地下を掘らなきゃならないけれど、その予算が下りるかどうかで揉めているらしい」と。(おかしく無いですか?何故、今ありもしない部活動について予算うんぬんが議論される一方、紫野グラウンドを無くして活動の場が無い部員が居るのに)と言うと、「今度の東京オリンピックを目指してるみたいで」と答えられました。冗談かと思いましたが真剣なようです。今ありもしない部活なのにと再度言うと、「まだ、ギリギリ間に合うらしいんで」と答えられました。
ちなみに、今回の校舎が建つのは平成28年12月末。つまり平成29年以降からの稼働であり、東京オリンピックは皆さんもご承知の通り、平成32年の開催。間に合うか合わないかの話でとやかく言う訳ではありませんが、学校の特色をこうしたものに頼るのは、前世代的発想に思えてなりません。

2−鴨沂高校で現在活動している部活動を、今回の新設体育館及び運動場に当てはめてみると?

鴨沂高校で現在活動している体育系部活動の詳細が、学校側公式サイト並びに受験生向け学校紹介パンフレットに記載されています。
http://www.kyoto-be.ne.jp/ohki-hs/mt/school_life/club/
ここで分かる通り、水泳(水球)・バトミントン・卓球・野球・陸上競技・自転車競技・バレーボール(女子)・剣道・テニス・ラグビー・バスケットボール・フェンシング・ダンス・サッカーと列挙されています。
では、これらの部活動が今後の鴨沂にてどこで活動するか、という点について、実際の業者向け図面で落として行きたいと思います。

地上1階
添付資料5の体育館地上1階図面では、バトミントン部・卓球部・バレーボール部・バスケットボール部が活動する事になるのでしょう。

地下1階図面

地下2階図面
次の添付資料6の体育館地下1階図面では、プール側は水球部が、そしてフェンシング部に1ピスト、格技場では剣道部にダンス部が使う事になるのでしょう。そして地下2階。これは、水球部と今はありもしないシンクロ部が独占使用する、という事になるようです。
では、その他の体育系部活動はどこで行うか。

校舎全体図
添付資料7の校舎敷地全体図で分かる通り、体育館西側に整備されるテニスコート1面では、フットサルなどにも対応するとの事ですので、サッカー部の部分使用とテニス部が、そして隣の北運動場側に、野球部とラグビー部、サッカー部に陸上競技部がひしめき合うと想定されているようです。自転車競技部に関しては、想定される場所すら見当たりません。
ちなみに、この北運動場は150mトラックにして、最も長い直線距離も約85m程しかありません。
添付参考資料として、各既存部活動におけるコート面積図を11パターン挙げています。各部活動のおおよそ当てられている場所については、例えば北運動場に関してはどの部活動においても面積はクリアしていません。また、新たな体育館の中でも、明らかに複数の部活動が同じ場所に重なって使用する形になります。

野球ラグビーサッカーテニスバスケットバレーボール剣道卓球フェンシング水球コートシンクロ・水球

これらの件について以前、府教委管理課においては府議会でもまた保護者説明会においても「工夫した活動を」と答弁しています。
が果たして、この図面の読み取りにおいてそれは、当事者側らに納得のゆく話となるでしょうか?
「水球部は強いから仕方無い」と、この当初案に言葉をつぐまざるを得なかった当事者らも多かったでしょう。
けれども、今まるでありもしない部活動に特化した設備を、それも学生向けワークショップでは出す事も無かった話がこうして浮上するのは何故でしょう。そしてこれらの既存部活動の中でも最も設備投資として金額の高いであろうものが実現される一方で、グラウンドの代替地さえ既存部活動に対して提示出来ないのは何故でしょう。
こうしたプール設備は今後部活動以外の体育授業でも活用するという話はあるかと思います。ですが既存水球部に必要な水深は2mですから、これを通常の体育授業に流用するのであれば、可動式床などを作らずとも水位を減らせば済むレベルの話であり、既存部活動及び今後の体育授業ではそれらの設備投資はまったくの過剰投資と言えます。

いずれにせよ、延床面積が当初よりも多くなる事で、その膨大な予算がまた、本来の学生らのためでない所に流れる事は事実なようです。

業者向け図面をみて検討しよう⑨

<京都府の業者向け入札情報から、鴨沂校舎が今後どうなってゆくのかを見て行こう⑨>~これは紫野グラウンドのお返しギフト?豪華設備の体育館。

先週よりスタートしたシリーズの第9回目。

京都府の入札情報リンクに、鴨沂高校校舎改築の工事内容が分かる詳細図面などがアップされています。以下のリンクにその詳細が分かるPDF資料が貼付けられています。膨大量の資料ですが、これまで分からなかった、また学校等のサイトでも更新されていない工事内容と詳細な平面図面も見る事が出来ます。http://www.kyoto-be.ne.jp/kanri/cms/?page_id=39

今回は2回に分けて、本館敷地側の旧特別教室棟側に建設される「体育館」について、読み解きを行いたいと思います。

kanrika.ohki.zuall:平面図全体

まずは添付資料1が、本館敷地側の全体平面図になります。図面の通り、奥行きは45m、幅が32m、地上2階、地下2階造りとなり、高さは僅か、旧校舎よりも低くなって15m(現行条例にあわせる為。)、元々の校舎のあった位置よりも東向きに後退して建てられます。よって校舎東側の荒神さん側の景観としては、以前よりも圧迫感のある雰囲気となるでしょう。

体育館外観2

添付資料2は、この体育館の外観を立面で示された図面です。地上と地下が分かるように赤線を引きましたが、図面で分かる通り、地下層に関しては上ものとほぼ同じ位に地下深く掘られる事が分かります。また、青文字で示した通り、荒神口通り側から見える外観には、既に解体された北運動場の体育館の意匠の特徴であった丸窓の面影を再現するようです。また、体育館の北門側出入り口には、その屋根を北運動場側に今もまだある上屋の風情を再現するようです。が、以前もお伝えしたように本物をこの場所に移築する訳ではありません。

それでは、体育館の全貌に迫ってみたいと思います。

大変豪華な造りのそれは、確かに最新式体育施設と呼ばれるごとくの造りとなっています。府立つながりで言えば、「京都府立体育館」ではその運営費をネーミングライツによって民間資本力に頼る現状であるというのに、同じく府立の鴨沂では、一高校であるにもかかわらず素人でも分かる程のお金のかけ具合に、専用グラウンドを無くしてしまった鴨沂高校が、せめて室内競技には注力を、との思いが反映された、という事なのでしょうか。

体育館地上1階

まず、添付資料3はこの体育館の地上1階部分の平面図となります。バスケットコートが2面とれるスペースが主となっており、その他の設備も充実した造りとなっています。そしてなんと!エレベーター完備です。

体育館地上2階

次の添付資料4は、地上2階の平面図です。各種コートエリアの吹き抜け部分が大半で、東側には観戦ギャラリーに、体育職員室の全日制及び定時制のスペース、そしてミーティングスペースがあります。特にギャラリーゾーンの造りに関しては、失ってしまった戦前体育館の内観の造りを踏襲されているのでしょうか。

ここまでがいわゆる、部活動的に言えばバレー部やバスケットボール部、卓球部等が利用出来るスペースという事でしょう。

それではいよいよ、地下層です。

体育館地下1階

添付資料の5は、地下1階の平面図です。25m×20mのプールがメインとなっており、フェンシングピストが1つ、そして格技場が1面という造りになっています。

体育館地下2階

添付資料6は、地下2階の平面図。その全面がプール及びプール設備群となっています。図面だけを見ればプールが上下階に2面あるのか?と思われる方がおられるかもしれませんが、そうではありません。こちらのプール。今回の計画では水深3.5mで、その床を可動式にして水深を変えられるという、大変豪華な造りとなっています。

と、ここまでが今回の体育館の全貌となります。

では、ここまでの内容をふまえて、次回シリーズの予告は、この体育館に対して、では現在鴨沂高校でまさに今活動されている体育系部活動の内容と、これら設備が果たして伴っているのか?という事を中心にして、更に内部の図面と照らし合わせを行っていきたいと思います。

業者向け図面をみて検討しよう⑧

<京都府の業者向け入札情報から、鴨沂校舎が今後どうなってゆくのかを見て行こう⑧>~総床面積、増えてるんじゃないか?新校舎は地下スペースがいっぱい、の巻。

先週よりスタートしたシリーズの第8回目。

京都府の入札情報リンクに、鴨沂高校校舎改築の工事内容が分かる詳細図面などがアップされています。以下のリンクにその詳細が分かるPDF資料が貼付けられています。膨大量の資料ですが、これまで分からなかった、また学校等のサイトでも更新されていない工事内容と詳細な平面図面も見る事が出来ます。http://www.kyoto-be.ne.jp/kanri/cms/?page_id=39

さていよいよ体育館?教室棟?本館中央の残され方?となりましたが、その前に。今回はそれぞれの校舎達に共通する新旧の「地下」の今後の在り方について、ひとまず総合的に読み取りを行おうと思います。

まず添付資料1は、今後の本館敷地側校舎群の断面図。

kanrika.ohki.zu1地下断面図

分かり易く、地平線を赤線で引っ張ってみました。この断面図でわかる通り、新設体育館と新設教室棟には、深く地下がある事が分かります。

添付資料2は、本館校舎敷地全体を俯瞰から見た所の図面です。

kanrika.ohki.zu1地下平面

体育館地下1階はプール及び格技場、フェンシングピストに更衣室がレイアウトされています。

加えて、既存本館中央棟に既にあった地下については、倉庫や給水ポンプ室、男女更衣室等に転用されるようです。

また、教室棟地下1階は豪華エレベーター付大容量駐輪場、そして校舎外側地下には雨水貯留塔が設置されるそうです。

ちなみに、地上にはこの雨水貯留塔の上には屋外駐輪場が設けられます。教室棟のレポートの際にまた詳しく述べるとしますが、各フロアーの教室数は6クラス。仮に1クラス40人×6クラス×3学年、最大学生数が720人となりますから、これにて学生全員が自転車通学してもみんな自転車が停められる、という計算なのでしょう。受験制度が変わった今、あらゆる地域から通う生徒が居る筈でしょうから、果たして全員が自転車通学をするのかはなんとも言えません。

また、今回の新校舎プランには、雨水利用や太陽発電システムなどが取り入れられる、いわゆるエコ校舎もその特徴とされているようですが、このあたりは現在、マンション建設で話題の梨木神社と同様の水脈が流れており、既存校舎でもプールや北運動場側の飲料水等でも地下水が利用出来た程の水量が本来あります。こうした雨水貯留施設などがわざわざ新たに必要なのかは謎とする所です。

次の添付資料3は、地下2階の俯瞰図面です。

kanrika.ohki.zu1地下平面2

教室棟側はおおよそ、基礎部分という捉え方で良いのかと思われますが、注目は体育館側。地下2階部に関してはほぼほぼ、プールとその設備で占められている事が分かります。

これらの件を断面図で更に詳しく見る事にします。

まず添付資料4は新設体育館の断面図です。なんと体育館は基礎部を入れると12m超の地下が掘られるようです。

kanrika.ohki.zu1体育館断面図

そして添付資料5の新設教室棟の断面図では、基礎を加えて5m超の地下が掘られるようです。

kanrika.ohki.zu1教室棟地下断面図

ここまでの所で分かるのは、今回の校舎新築計画では、本来ならば既存校舎が残る事によって新設床面積はその分抑えられた筈が、これらの計画を総合するに、旧校舎群よりも更に床面積が増床されているのでは?と想像される事です。

我々のように建築には素人でもその言葉を知っている通り、住宅チラシにも載っている「坪単価◯◯円」という表現があります。これは、家を建てる際の総床面積に対して、平均一面積でいくらかかるか、という予算目安を指します。同級生の友人で建設会社に勤めている者は、「鴨沂の敷地からしたら、おおよそどのくらいの予算がかかるか計算出来る」と以前言っていました。

そこから発想して、今回、鴨沂校舎は既存建物も利用しての新築工事な訳ですから、本来であれば総床面積は全部改築するよりは減っている訳で、コストの削減も計れていた筈です。

ですが、今回の計画案を見ると、全体ではどう見ても元々の施設群よりも増床しており、しかも素人でも知っているように「地下は地上よりもコストが更にかかる」の、見本のような構造になっています。かつ、現在校生数は我々の頃から比べても1/3、今後の想定生徒数でも1/2、更にこの校舎でマックスの生徒数を誇った時代からすれば1/4以上とも言われています。

お金の事をとやかく言うと、せっかく素晴らしい施設になるのだからとお叱りを受けるかもしれません。

しかしながら、こうした土木建築で方々に利害関係者が居る案件には多額の予算が投入される一方、紫野グラウンドを奪われた在校生らには、体育祭を開催するにあたり予算面で代替地は確保出来ないとする学校管理職側の決定のもと、更地になったばかりの狭く、整備もままならない状態の北運動場での開催を強い、同じく紫野グラウンドを奪われた部活動の部員らには、代替地とは名ばかり、結局は狭い北運動場での活動を強いているのです。

こうした実情とこの度の計画を読み取れば、「学生のため」という大義名分は本当なのか、代替地さえ提示出来ない側がどうして、このような事であれば予算の大量投入が出来るのか?という、埋まらない疑問が生じてきます。

「地下」繋がりで加えて言えば、予算のかかる地下はどんどん掘るというのに、明治期より既に存在する貴重な地下道は、どうして今後は活用されないのでしょう。という疑問も。

それでは、ちょっと明日はまた読み取り準備でお休みするとして、次はいよいよ、地上2階地下2階建ての豪華新設体育館について、紐解きを行いたいと思います。

地下12m超の掘削にて行われる施設の全貌。

ちなみに、トップに添付した写真は、本年夏に先んじて行われた埋蔵調査の様子(今後体育館が建てられる、本館敷地北側エリア)です。考えれば、先に行われた調査はまだ、掘った所ですら終わっていない事が分かります。まさか、12mを超えて調査が成されたとはとても言えない深さであるのは、写真でもお分かりになると思います。

業者向け図面をみて検討しよう⑦

<京都府の業者向け入札情報から、鴨沂校舎が今後どうなってゆくのかを見て行こう⑦>〜廃墟然から一転。箱入り娘の「お茶室」及び「和室」に!の巻。

先週よりスタートしたシリーズ。検証のため3日程お休み頂きました。
さて。京都府の入札情報リンクに、鴨沂高校校舎改築の工事内容が分かる詳細図面などがアップされています。以下のリンクにその詳細が分かるPDF資料が貼付けられています。膨大量の資料ですが、これまで分からなかった、また学校等のサイトでも更新されていない工事内容と詳細な平面図面も見る事が出来ます。http://www.kyoto-be.ne.jp/kanri/cms/?page_id=39

今回はその後の行方が注目であった鴨沂高校の平屋木造一棟建の通称「和室」と、女学校創設地であった幕末公家屋敷から移築された「茶室」について、京都府教育委員会及び梓設計はどのような設計プランとして取り組む計画であるか、を検証したいと思います。
kanrika.ohki.zuall和室2
さて、元々は校舎南東側にあったこの「茶室」と「和室」。これらは部材を用いて移築するという話ではありましたが、実際、何処に移築されるのかというと、本館敷地図全体平面図(添付資料1)に印を打ちました通り、今度は敷地の西南側という事だそうです。

kanrika.ohki.zuall和室側面
では、実際に外観はどうなるのか?というと、茶室及び和室の外観図面(添付資料2)がそれにあたります。平面図で無彩色なので少し分かり辛いかとは思いますが、要は、茶室と和室が一体的な形にて、コンクリートと石膏ボードの箱の中に収められる、という事の様子です。
何故、わざわざコンクリート壁の箱の中にこれらが収められるのか?その理由は我々には分かりません。法令や条例などで木造建家としてこれらの存在が学校施設にあることが問題なのでしょうか。あるいは、昨年に開催された「意見聴取会議」にて、これらの保存を当方側が訴えた際に、出席者で意見聴取会議の委員でもあった上野前同窓会長が「木造建家が学校に存在するのは危険だ。火事でも起こったらどうする」という意見が出た事が、この存在の仕方に影響したのかもしれません。
京都ではこうした歴史的建造物の木造及びコンクリート等への緩和策条例がありますが、この条例の適用を受けなかったのでしょうか?

と、不明な所はさておき。
今後の茶室と和室について話を戻しましょう。

kanrika.ohki.zuall植栽
まず、今後の茶室と和室周りの植栽図までが詳細図面で挙げられています(添付資料3)。以前の茶室周りの植栽に関しては、長年の手入れが行き届いてなかった事もあって、それは廃墟然として鬱蒼としていました。今回の運動でその由来を調べる中、このお茶室は九条家屋敷からの移築であった事、裏千家との深い繋がりを象徴したものである事、明治からの女子教育の中で茶道が取り入れられた、礎と行っても過言では無い場所にて、かつて前身の女学校では新島八重がこの学校で教鞭をふるっていた事も分かりました。また、「和室」に関しては現在の校舎以前の木造校舎の一部である事や天皇家との繋がりもある事が分かりました。しかし、これらのゆえんについて、在校時より知っていた卒業生が果たして、どれほど居たか。内側でもこうした貴重な歴史物語を知る者は多くは無かったでしょう。
しかしながらこの度の校舎改築に至り、こうした事実が一方で広く世間で注目される事となり、恐らくは保存の声があらゆる方面から多く届いたのでは無いでしょうか。これまで、府教委側から決して明言されなかった「茶室」及び「和室」が、このような形ではありますが残されるという事に至ったのではないかと思います。
kanrika.ohki.zu1和室詳細2kanrika.ohki.zu1和室詳細1
それでは、内部について、どのようにされるか。詳細図面として「茶室」(添付資料4)、「和室」(添付資料5)を見てゆきたいと思います。
まず、それぞれの内観や外観にて、かつての部材を再利用される記述にはオレンジの線で印を打ちました。特に「茶室」については重点的に、部材の再利用や修復が成される模様であるのが分かります。

ouki-kizonkenchiku茶室既存外観ouki-kizonkenchiku茶室既存図面ouki-kizonkenchiku和室既存外観ouki-kizonkenchiku和室既存図面
続いて既存茶室と既存和室の外観及び内観の図面(添付資料6、7、8、9/「京都府立鴨沂高等学校既存建築調査報告書」より引用)と見比べますと、内部レイアウトはほぼ、この度の計画図面と変わらない事が分かります。
最悪のシナリオでは、「部材の一部を使って」との府教委側の文言からすれば、既存和室と茶室のミックスで部材をほんの一部使い、ひとつの建家と成されるのでは?という想像もあったでしょうから、こうした図面を見比べる限り、内観に関しては少なくとも、かつての形を周到した造りにはなるのだ、という事は分かりました。
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外観に関しては、特に「和室」についてはもう、あの外側の姿を目にする事はこの度の計画には無い様子です。
こうした形での移築が果たして、今後文化財指定などを目指す事がある場合にその必要な要件を満たすのかは、我々は専門家では無いので分かりません。しかしながら今後もこうした形で残すのであれば、きっと教育の中で有効活用される事を切に願います。

鴨沂高校の茶室及び和室に関する歴史について、公式サイト側に掲載しています。
http://coboon.jp/memory.of.ouki/?p=3097
http://coboon.jp/memory.of.ouki/?p=2938
http://coboon.jp/memory.of.ouki/?p=681